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ヒストリー・オブ・バイオレンス
過去は後ろに過ぎ去っていくものではない。現実の中に、心の中に、古い地層のようにそれは堆積していく。冒頭の場面で二人の男が話しているとき、田舎の平凡な風景の中には不穏な空気が漂っている。背後の店の中には二人の男に殺された死体が転がっている。まだこの静かな風景の中に残っている暴力の余韻をカメラは捉えている。

ストール家にそのような雰囲気は漂っていないように見える。しかし、悪夢にうなされ目を覚ます娘(ハイディ・ヘイズ)が見た影は、本当にただの妄想なのか。それは、一見平穏に見える生活の中に潜んでいる何かを、彼女が無意識に感じ取っているからかもしれない。

夫(ヴィゴ・モーテンセン)の過去には空白がある。妻(マリア・ベロ)は本当何も気づいていなかったのだろうか。前半のセックスシーンで、妻は高校生のチアリーダー姿で現れる。実際には二人は思春期を共有していない。だからこそ、妻は過去を想像で作り出そうとする。しかしそれは過去の空白を埋め、空白をのぞき込んで恐ろしい何かを見てしまうことを避けようとする、妻の無意識の表れなのかもしれない。

ストールの店に強盗が押し入る事件によって、地下に堆積していたトムの過去が突然顕わになる。過去を知る人間たちが彼のところにやってきて、平穏な家庭生活は破られる。いったん暴力的な衝動を外に出してしまうと、それを元に戻すのは難しい。子供のしかり方から妻とのセックスまで、トムの行動は以前とは変わってしまう。

暴力的な衝動を秘めているのは、トムという特殊な過去を持つ男だけではない。おとなしいいじめられっ子だった息子(アシュトン・ホームズ)は、ギャングの一人を撃ち殺したことをきっかけに、秘めていた攻撃性を同級生にぶつける。また、どんな平穏な家庭にもセックスと無縁ではなく、セックスにはある種の攻撃的な衝動が伴う。階段でのセックスシーンは一見すると夫の暴力的な行為に見えるが、その夫を荒々しく引き寄せる妻の身振りも描写されている。これは、一回目のセックスシーンのような思春期の恋愛物語の衣をかぶっていない、互いの暴力性がむき出しになったような場面になっている。

この映画における銃撃戦は派手な娯楽として演出されているわけではない。さっきまで会話していた相手が銃声の後一瞬にして死体に変わる。ここでは日常生活と暴力の間に距離がない。相手との距離や立ち位置が生死を分ける重要な意味を持つ、緊張感のあるアクションシーンを、僕たちはこの映画で見ることができる。

ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヒストリー・オブ・バイオレンスジョシュ・オルソン デイヴィッド・クローネンバーグ ヴィゴ・モーテンセン

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stars捨てた人格を暴露された男の決断
starsスタイリッシュ&ディ―プ  
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この記事に対するコメント
こんにちは!
なんかの映画観たときに予告編みたんですよね~
でもまだ観れてないんでちょっと気になります。
けっこうお勧めな感じですか?
【2006/04/22 19:37】 URL | KING MONKEY #- [ 編集]


King Monkeyさん
そうですね、見た後に余韻の残る映画です。誰でも暴力的な衝動は持っているので、いろいろ考えさせられる作品だと思います。
【2006/04/22 23:24】 URL | fumiya #AKKjkRR6 [ 編集]


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映画『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(お薦め度★★★★★)

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