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手紙
犯罪に巻き込まれたくない、犯罪から離れた場所にいたいという気持ちは誰もが持っている。そしてその気持ちは、犯罪にかかわったことのある人間から距離を置いていたいという気持ちにつながり、さらには犯罪者の家族に近づきたくないという心情にまで行き着く。電機会社の会長(杉浦直樹)が言うこの自己防衛本能は、子供を持つ親になればさらに強くなる。朝美(吹石一恵)の父親(風間杜夫)や社宅の母親たちのようにはならない、と言い切れる人間は少ないはずだ。

距離を置くという消極的な行動は、やがて家のドアへの落書きやネットへの匿名の書き込みといった攻撃的な行動にまで発展する。攻撃しても罪悪感を持たずに済む相手への攻撃は執拗に続く。匿名の市民たちによって、犯罪者の弟である直貴(山田孝之)の人生は壊されていく。住居、職場、恋愛関係、あらゆる居場所を奪われ、あらゆる人間関係は切られていく。そしてついに、執拗な差別は彼の幼い子供にまで及ぶ。「ひとごろし」の言葉の意味さえ知らない子供が、人殺しの娘と中傷される。

剛志(玉山鉄二)と直貴、二人の兄弟は暗い影を背負っている。素性を隠して生きねばならない弟は孤独感を漂わせている。刑務所にいる兄もまた、他の受刑者と会話をする場面は全くなく、孤独に懺悔の日々を送っている。しかし、兄は自分が作り出した影が弟と弟の妻、子供にまで及んでいることをまだ知らない。

直貴は逃れようのない暗い運命を背負わされた人間だが、由美子(沢尻エリカ)は自ら進んで彼の運命を共に背負おうとする。子供が差別にあったとき、夫に向かって「逃げへん」と関西弁で言うときの沢尻エリカのまなざしの強さには見ていて圧倒される。絆をつなぎ止めるために、彼女は手紙を書き続ける。

匿名の落書き、ネット上の書き込みが関係を断ち切るものならば、手紙はその対極にある。孤独な兄にとっての唯一の絆。しかしそれすら、彼は断念しなくてはならない。彼の手紙のせいで過去を終わらせ、過去から決別することができない被害者の家族がいる。彼と血がつながっているというだけで差別される人たちがいる。絆を断ち切ることで娘を守ろうとする直貴が正しいのか、絆を断ち切ってはいけないと考える由美子が正しいのか。

加害者がどこまで自分を追い込めば、私たちは彼を赦し、受け入れることができるのだろうか。もはや手紙を書くことさえ許されない剛志が最後に見せる、贖罪の姿。もちろん、あらゆる犯罪者があのような祈りの境地にまで達するするわけではない。しかし、犯罪を恐れる気持ちは誰もが持っているとはいえ、殺人犯である彼のあの祈りを受け入れられない社会は、どこか歪んでいるのではないか。

手紙 ~あなたに会えてよかった~
手紙 ~あなたに会えてよかった~山田孝之 玉山鉄二 沢尻エリカ

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この記事に対するコメント
同感です。
fumiyaさんの書かれていることに
とても共感いたしました。
自分がこの映画を観てすっきりしなかった理由が分かった気がします。
【2006/11/21 23:51】 URL | えい #yO3oTUJs [ 編集]


えいさん、コメントありがとうございます。
映画作品としてすばらしいというわけではないんですが、提示するテーマについて、色々考えさせられました。本当は、同情の余地のないような犯人を登場させて考えるべき問題なのかもしれませんが、一般公開の映画の設定としては仕方ないのでしょう。
【2006/11/22 20:20】 URL | fumiya #AKKjkRR6 [ 編集]


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『手紙』

差別のない国を探すんじゃない。君はこの国で生きてくんだ。  ■監督 生野滋朗■脚本 安倍照雄、清水友佳子■原作 東野圭吾(「手紙」毎日新聞社、文春文庫刊)■キャスト 山田孝之、玉山鉄ニ、沢尻エリカ、尾上寛之、吹越満、田中要次、杉浦直樹、吹石一恵、 京の昼寝~♪【2006/11/18 00:34】

『手紙』 試写会

原作:東野圭吾 CAST:山田孝之、沢尻エリカ、玉山鉄二 他STORY:剛志(玉山鉄二)と直貴(山田孝之)は両親を亡くし、剛志の収入だけで兄弟2人で細々と暮らしていた。しかし腰を痛め勤められなくなった剛志は、ある日強盗目的で他人の家に押し入り人を殺してしまう *sweet* Days【2006/11/18 07:56】

手紙/山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ

公開初日に梯子で観ようと思ったとき「デスノート」は決まりでもう1つ何を観るか迷ったんですよねぇ。でも「デスノート」とコレの二本立てにしてたらどちらも感動がかなり薄まってしまったことでしょう。ちょっと小腹が空いてたけど何も買わずに臨んで正解でした。コレ、め カノンな日々【2006/11/18 09:57】

【手紙】

*ネタバレ・・・してます。* ★直貴(山田孝之)が夢見ていたこと。音楽がお笑い 空の「一期一会」【2006/11/18 15:58】

手紙

DEPOTのおすすめ度:★★★★☆公開日:2006年11月3日配給:ギャガ・コミュニケーションズ監督:生野慈朗出演:山田孝之,玉山鉄二,沢尻エリカ鑑賞日:2006年10月28日(GyaOオンライン試写会)自宅PC(座席数1) 【ストーリー】工場で働く20歳の武島直... CINEMA DEPOT's BLOG【2006/11/19 11:34】

『手紙』

※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。 鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。「気まずいねぇ~!」----ニャんなの。それ?「映画『手紙』で主人公が組んでいる漫才コンビのネタ。原作では音楽なんだけど、お笑いに変えた ラムの大通り【2006/11/21 23:49】

『手紙』

※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。 鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。「気まずいねぇ~!」----ニャんなの。それ?「映画『手紙』で主人公が組んでいる漫才コンビのネタ。原作では音楽なんだけど、お笑いに変えた ラムの大通り【2006/11/21 23:52】

手紙

【映画的カリスマ指数】★★★★☆ 手紙・・・その絆に込める救いと許し  カリスマ映画論【2006/11/22 01:39】

手紙

手紙 手紙 パンフ<ネタバレあり> 罪をおかしたもの、それをとりまく家族を 描くという重いテーマだ。 正統派なつくりで、人間を丁寧に描いているため ただ暗く重いだけのドラマには なっていないのがいい。 やや単調なとこもあったが、兄弟愛、 月影の舞【2006/11/22 15:54】

手紙

伝えたい思いは,心を込めれば必ず届く! Akira's VOICE【2006/11/22 18:06】

手紙を観てきたよ

評価:★★★★★ この映画は、ガンガンテレビ放映して欲しいです。 犯罪が少しは減ると思うから。 ストーカーちっくだったり、ドロドロに暗かったり ダラダラなとこもあるんだけど、 そこを乗り越えないとあの胸に刺さる感情は得られないなぁ。 とにかくいい映画でした。 ワタシ的素敵な暴言【2006/11/23 12:40】

『手紙』

泣き度 [:悲しい:][:悲しい:][:悲しい:][:悲しい:]      2006/11/03公開  (公式サイト)シリアス[:メールブルー:][:メールブルー:][:メールブルー:][:メールブルー:]満足度 [:星:][:星:][:星:][:星:]【監督】生野慈朗 【脚本】安倍照雄 【原作】東野圭吾   アンディの日記 シネマ版【2006/11/24 17:00】

「手紙」、感動しましたぁ~。

 実際に千葉刑務所でも慰問上映され、744人の受刑者も見て、涙する人もいた映画「手紙」を見てきました。 よしなしごと【2006/11/28 03:42】

TAKE 32「手紙」(2006年)

第32回目は「手紙」(2006年)です。この作品は東野圭吾さんの同名小説「手紙」を映画化したものです。簡単なあらすじは、工場で働く20歳の武島直貴(山田孝之)は、職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。それというのも唯一の家族である兄・剛 映画回顧録~揺さぶられる心~【2006/11/29 00:50】

手紙

http://www.tegami-movie.jp/ちょっと遅めですが映画館で「手紙」これはよかった東野圭吾さんの映像化差作品には「変身」「白夜行」がありますがこれもそこそこ暗い作品です。直貴の兄は仕事にがんばりすぎで腰を痛めてし 勝弘ブログ【2006/12/10 22:37】

「手紙」

何となくしっくり来ない…観終わった直後の感想です。テーマが重いだけにお笑いを目指しているという設定は浮いていたし、沢尻エリカの関西弁(?)も、不自然であまり必要性を感じませんでした。また、婚約者との最後はあれで良かったのかも疑問です。せめてお金を受け取るな Tokyo Sea Side【2006/12/17 10:47】

手紙(11/3公開)

 12/1、渋谷東急にて鑑賞。6.5点。 今年ようやく直木賞作家となった東野圭吾の同名小説が原作(俺は未読)。ネット上でやたら評判が良かったので観にいってみたが、確かに悪くない。とはいえ絶賛するほどでもない。佳作。 殺人事件の加害者の弟を主人公に置き、その苦し 第八芸術鑑賞日記【2006/12/25 06:35】

手紙

原作は東野圭吾。こちらは未読。犯罪加害者に焦点をあてたということに興味あり。DVDで鑑賞。工場で働く20歳の武島直貴は、職場の人間ともまるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。それは唯一の家族で親代わりである兄・剛志が、直貴の大学進学のため 映画、言いたい放題!【2007/07/22 21:44】

杉浦直樹

杉浦直樹杉浦 直樹(すぎうら なおき、1931年12月8日 - )は、愛知県岡崎市出身の俳優。来歴・人物1950年に内田良平 (俳優)|内田良平、小松方正らとともに新演劇研究所を設立し主に舞台演劇で活躍。1958年に松竹に入社し映画に活動範囲を広げる。向田邦子 るかの日記【2007/07/25 05:34】

手紙

 『兄貴、元気ですか? これが最後の手紙です。』  コチラの「手紙」は、11/3公開になる東野圭吾さんの同名ベストセラー小説の映画化なんですが、試写会で観て来ました♪この映画の感想を冷静に書くことなんて、とてもじゃないけど無理。途中でおすぎが憑依しちゃいそ... ☆彡映画鑑賞日記☆彡【2008/01/27 18:51】

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管理人の承認後に表示されます 【2010/01/29 22:38】
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