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Author:fumiya
30代。独身。眼鏡。超短髪。あごひげ少々。映画館に通うのが趣味。コメントやトラックバックはお気軽に。

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Kinetic Vision
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魍魎の箱
映画撮影所の場面で、赤い布が天井からぶら下がり風で揺れていて、その布の間から黒木瞳の姿が見える。クレーン撮影や緩やかな横への移動撮影もあり、まるでラストエンペラーのようだ。凧の糸が張り巡らされた学校の部室、六角形の中心に黒木瞳を置いて周りを木場刑事と青木刑事がゆっくり歩く場面を真上から撮った場面など、凝った演出が楽しめる。ただ、映画がかなり高速で展開して進んでいくので、あまりこうした場面をゆっくりと味わっている余裕はない。

原作のせりふをただそのまま俳優に突っ立ったまましゃべらせるとかなり退屈になってしまうのだが、前作とは違ってギャグを交えた軽妙なやり取りに変えているのは、原作ファンには異論のある人もいるだろうが、効果的な演出だと思う。京極堂までギャグをやってしまうのは堤真一としてみている人には許容できるだろうし、原作のキャラを忠実に再現してほしい人には許しがたいのだろうが、基本的に俳優にあった演出をすればいいと思う。堤真一、椎名桔平、阿部寛、田中麗奈たちの掛け合いはなかなか面白いし、田中麗奈がこんなにコメディうまいとは思わなかった。逆に、お笑いが本職の宮迫博之が演じる木場刑事は今回ちょっと浮いた存在になっていてうまくストーリーにはまっていなかったと思う。少女二人は行動動機を説明する時間がなくて物語の展開を急ぎすぎていると思ったが、演じている二人(寺島咲、谷村美月)は少女だけの世界にこもっている女の子の雰囲気をよく出していた思う。

原作の設定だからしかたないのだが、暗い犯罪の雰囲気を出すべき人物が二人いるので、映画の限られた時間の中でどちらに重きを置いて演出するのかが難しい。小説家久保(宮藤官九郎)のほうは冒頭から出てくるのである程度雰囲気を伝えてはいたが。科学者美馬坂(柄本明)のほうは後半からの登場になり、常人が踏みとどまる一線を越えてしまった人物という印象はあまり伝わってこなかった。

一貫した雰囲気をもった作品の中で、最後の研究所でのクライマックスが、なにか特撮ヒーローものででてくる悪の秘密結社のように妙に安っぽく感じられたのが残念だった。憑物落しはただの謎解きとは違うのだが、それを映画で表すのは難しい。下手な演出をすると、テレビのサスペンスドラマのように全員突っ立って事件の真相を説明する、といった場面になりかねない。それを避けるために今回は建物の崩壊というパニック映画のような演出を導入しているのだが、建物が崩壊する音がずっと聞こえていて美馬坂は機械の整備で動き回り、せわしない。ここは落ち着いて京極堂と美馬坂が正面から向かい合っている対決を見たかった。

魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)
魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)京極 夏彦

おすすめ平均
stars押入れの中は覗くなかれ
starsエンターテイメントここに極まれり
stars第2弾にして、早くもシリーズ最高の出来。
starsノベルスのこの厚さが愛おしくなる
stars不可能犯罪を前にして木場が吼える「何の呪文だ? 俺には効かねえな」

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椿三十郎
若侍たちが椿三十郎と出会い、三十郎が若侍に味方することを決め、一人でお堂を取り囲んでいる侍たちの前に出て行き、立ち回りをした後、手ごわい相手、室戸と対面する。ここまでの一連の流れが非常にスムーズでテンポよく進み、ストーリーの導入部としてもちゃんと機能しているのは、黒澤版の優れた脚本のおかげだろう。なぜ若侍たちに味方するのかといった、三十郎の心理をくどくど説明せずにあえて謎めいたままにしてあるおかげで、観客は若侍たちと同様、この人は次はいったい何をしでかすのかと思ってドキドキする。これはまた、若侍たちが三十郎を信じるかどうかをめぐって意見が割れる場面へと効果的につながっていく。今のテレビ番組の脚本家が書き直したらこうはならなかっただろうから、黒澤版の脚本をそのままつかったことはよかったのではないか。

どうしても黒澤版の名優たちと比較されてしまう出演者たちだが、威厳や迫力ではかなわないにしても、喜劇的な場面での松山ケンイチや佐々木蔵之介の演技は軽妙でよかったと思う。室戸役の豊原悦司は最初に三十郎と出会う場面からこいつに惚れたという空気を出していて、これはこれで一つの解釈として面白いし、最後の決闘場面にもちゃんとつながってくる。武士の対面を汚されたというよりも、惚れた人間に裏切られたという、より人間的な室戸がここにはいる。

ただ、今は時代劇という虚構性の強い世界を成立させることが難しくなっているのかなと感じた。昔は三船敏郎のちょんまげ姿を映画やテレビでしょっちゅう観客は目にしていたのに対して、観客は毎日普通の格好をした織田裕二をCMなどで目にしているわけで、テレビで時代劇を目にする機会もかなり減ってしまった今、観客が違和感を払拭するのは難しい。中村玉緒なんて完全にバラエティ番組のときと同じ顔で写されていて、これではドリフの時代劇コントに見えてしまう。喜劇的要素のある映画とはいえ、現代とは違うモラルの世界で命のやり取りをする男たちの話なのだから、安易にテレビで見かける顔をそのまま使ってはいけないし、使うならテレビで見せている顔とは違う表情を演出で引き出すべきではないだろうか。

椿三十郎
椿三十郎三船敏郎 仲代達矢 加山雄三

おすすめ平均
stars最高傑作
stars黒澤さんの女性観の一面が垣間見える気がします。
starsユーモア+殺陣!
stars黒澤映画で一番好きかも
starsしょーもないですが

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