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Author:fumiya
30代。独身。眼鏡。超短髪。あごひげ少々。映画館に通うのが趣味。コメントやトラックバックはお気軽に。

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Kinetic Vision
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ニュー・ワールド
自然と調和して生きているポカホンタス(クオリアンカ・キルヒャー)の、大地への祈りの言葉から、この映画は始まる。そして、物語は彼女が大事な存在を奪われていく過程を語っていく。僕たちは美しいヴァージニアの森を見つめ、それにかぶせられる彼女の声を聞きながら、自然との調和を感じ取り、争いによってそれが失われていく過程を痛みとして感じ取ることになる。しかし、誰も彼女を自然から完全に引き離すことはできない。彼女は大地に、空に語りかけ、その声を聞くことができる。

映像にはポカホンタス以外に二人の男性の声がかぶせられる。自然との調和など知らない文明人が、彼女との出会いから何を感じ取ったのか。ジョン・スミス(コリン・ファレル)にとって、それは夢のような時間だ。「空」「太陽」「風」・・・彼女がただ自分の言葉を繰り返すということが、どうしてこれほど官能的なんだろうか。これはポカホンタスが英語を学ぶ場面だが、彼もまた言葉の本当の意味を知るのだ。風という言葉に風を感じ、耳や髪という言葉に彼女に触れたときの感覚を感じることを。

先住民のところから植民者の砦に戻ったときスミスが見るのは、自然と調和する術を知らない者たちの、悲惨な生活だ。そこには全く緑がない。そして、元々境界線などない緑の平野で、イギリス人と先住民の殺し合いが始まる。それは彼女にとって、家族との生活と恋人との関係の両方を失ってしまうことを意味する。

ジョン・ロルフ(クリスチャン・ベール)は農園を経営していて、白人たちの中では自然と調和して生きる術を知っている人物だ。彼がポカホンタスを見たとき、彼女はコルセットで体の自由を奪われ、恋人との別れによって生気を失っていた。妻と子を失った経験を持つ彼が敏感に感じ取ることができるのは、相手の心の傷だ。

ポカホンタスが選択しなくてはならない時がやってくる。若い頃の、自分と相手が一体になったような、激しい恋の思い出か、それとも相手の優しさによって徐々に心を開いていった、穏やかな家庭生活か。

ヨーロッパ人の生活になじんでいく彼女を見ると、僕たちは胸が痛む。ヴァージニアの森で子鹿のように裸足で飛び跳ねていた彼女と比べると、今の彼女の身体はコルセットと木靴であまりに不自由に見える。しかし、イギリスの曇天の下でも、彼女は風を感じ、大地と会話する。どんな文明社会の中にいても、それはきっと可能なことなのだということに、僕たちは気づくのだ。

ポカホンタスについて(英語、肖像画あり)
http://en.wikipedia.org/wiki/Pocahontas

ニュー・ワールド コレクターズ・エディション
ニュー・ワールド コレクターズ・エディションテレンス・マリック コリン・ファレル クリスチャン・ベール

おすすめ平均
stars映像は美しいけど・・・
stars強い感動はないけれど
stars脳みそ映画の最高峰
stars微妙…。
stars現在のところ、今年2本の指に入る映画です。

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ヒストリー・オブ・バイオレンス
過去は後ろに過ぎ去っていくものではない。現実の中に、心の中に、古い地層のようにそれは堆積していく。冒頭の場面で二人の男が話しているとき、田舎の平凡な風景の中には不穏な空気が漂っている。背後の店の中には二人の男に殺された死体が転がっている。まだこの静かな風景の中に残っている暴力の余韻をカメラは捉えている。

ストール家にそのような雰囲気は漂っていないように見える。しかし、悪夢にうなされ目を覚ます娘(ハイディ・ヘイズ)が見た影は、本当にただの妄想なのか。それは、一見平穏に見える生活の中に潜んでいる何かを、彼女が無意識に感じ取っているからかもしれない。

夫(ヴィゴ・モーテンセン)の過去には空白がある。妻(マリア・ベロ)は本当何も気づいていなかったのだろうか。前半のセックスシーンで、妻は高校生のチアリーダー姿で現れる。実際には二人は思春期を共有していない。だからこそ、妻は過去を想像で作り出そうとする。しかしそれは過去の空白を埋め、空白をのぞき込んで恐ろしい何かを見てしまうことを避けようとする、妻の無意識の表れなのかもしれない。

ストールの店に強盗が押し入る事件によって、地下に堆積していたトムの過去が突然顕わになる。過去を知る人間たちが彼のところにやってきて、平穏な家庭生活は破られる。いったん暴力的な衝動を外に出してしまうと、それを元に戻すのは難しい。子供のしかり方から妻とのセックスまで、トムの行動は以前とは変わってしまう。

暴力的な衝動を秘めているのは、トムという特殊な過去を持つ男だけではない。おとなしいいじめられっ子だった息子(アシュトン・ホームズ)は、ギャングの一人を撃ち殺したことをきっかけに、秘めていた攻撃性を同級生にぶつける。また、どんな平穏な家庭にもセックスと無縁ではなく、セックスにはある種の攻撃的な衝動が伴う。階段でのセックスシーンは一見すると夫の暴力的な行為に見えるが、その夫を荒々しく引き寄せる妻の身振りも描写されている。これは、一回目のセックスシーンのような思春期の恋愛物語の衣をかぶっていない、互いの暴力性がむき出しになったような場面になっている。

この映画における銃撃戦は派手な娯楽として演出されているわけではない。さっきまで会話していた相手が銃声の後一瞬にして死体に変わる。ここでは日常生活と暴力の間に距離がない。相手との距離や立ち位置が生死を分ける重要な意味を持つ、緊張感のあるアクションシーンを、僕たちはこの映画で見ることができる。

ヒストリー・オブ・バイオレンス
ヒストリー・オブ・バイオレンスジョシュ・オルソン デイヴィッド・クローネンバーグ ヴィゴ・モーテンセン

おすすめ平均
stars捨てた人格を暴露された男の決断
starsスタイリッシュ&ディ―プ  
stars殺しの早業
starsクローネンバーグ復活!!!
starsバイオレンス

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マンダレイ
アメリカの白い地図、黒人奴隷、綿花畑、ギャング、フォードの車・・・アメリカという国が主題であることを示す要素がこの映画にはたくさん登場する。それにもかかわらず、壁を取り払われた抽象的なセットで演じられる黒人と白人の物語は、僕たちの物語でもある。

奴隷制度の中で生きてきたマンダレイの黒人たちは、支配者であるママ(ローレン・バコール)の死後、グレース(ブライス・ダラス・ハワード)によって奴隷契約から解放され、途方に暮れる。今までは、命令に従うか、反逆して罰せられるか、どちらかだった。ただし、反逆は、支配者がいるからこそ可能になるのであって、実は支配者を必要としている。ママはただその要求に応えてきただけなのだろう。自分たちを管理する人間(上司、教師、官僚・・・)に不平を漏らしながら、実は管理されることを望んでいる人々・・。これはやはり僕たちの物語だ。

綿花の種まきや収穫といった、自分たちの生死に関わることでさえ、彼らは命令なしに自発的に動くことができない。グレースは多数決という民主主義的手続きを導入して村を変えようとするが、この改革の裏には、ママの鞭以上に強力なギャングたちの銃がある。

ママの法律が冷徹な観察による住人たちの分類を基にしているのに対して、グレースは黒人たちの区別さえつかず、彼女の観察には致命的な見落としがある。ママの政治は人間の暴力や怠惰のような負の部分を計算に入れているのだが、グレースの理想には、グレースの白い服のように汚れがない。そしてグレース自身の押さえきれない負の部分が、衝動的な怒りや黒い肌への欲情として、表れる。

奴隷制よりも民主的でリベラルな多数決が村にもたらしたものは何か。死刑であり、新たな支配者の誕生だ。民主主義的な手続きによって、鞭をふるい支配する者が選ばれ、新しいマンダレイが誕生する。そしてこれは僕たちの社会のことなのだ。

マンダレイ デラックス版
マンダレイ デラックス版ブライス・ダラス・ハワード ラース・フォン・トリアー ダニー・グローヴァー

おすすめ平均
stars衝撃は薄れましたが。

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プロデューサーズ
扱い方を間違えると観客を不快にするような、ナチスドイツ、老人の性欲、ゲイ、言葉のなまりなど、けっこう際どいネタを扱っている。そういうネタを笑いに変えるためにスタッフが選んだ方法は、エネルギーと動きで圧倒することだ。

マックス(ネイサン・レイン)がセックスをエサに老婦人たちから制作資金を巻き上げるエピソードは、アメリカのコメディによくある下ネタで、室内の場面ではそれほど面白いとは思わなかった。ところが歩行器につかまった老婦人が大勢登場する戸外の場面では、このネタがこれほどのスケールで演出されることに圧倒される。彼女たちが大股を開いてドミノ倒しに倒れていくのを見ると(そしてそれを撮影するためにニューヨークを通行止めにしたことを考えると)、バカバカしいのに笑ってしまう。ゲイの演出家(ゲイリー・ビーチ)を訪ねる場面でも、最初に応対に出てきた助手(ロジャー・バート)だけでもかなり笑えるのに、部屋の奥からは次から次へとおかしな衣装を着たゲイが登場する。

ナチスドイツのネタは一番際どいネタだが、ナチの服装や敬礼からドイツ文化そのものまで、徹底してバカバカしいパロディにしている。奥様は魔女では酷評されていたウィル・フェレルは、小学生が着るような服装で暴れ回るナチ崇拝者で、こういう役にはピッタリ。もちろん、このネタをここまで扱えるのはユダヤ系メル・ブルックスの特権とも言える。

レオ役のマシュー・ブロデリックはギャグも踊りも冴えていてすばらしい。真面目なネクタイ姿の彼が、子供の頃から肌身離さず持っている安心毛布を取り上げられたときの豹変ぶりは、この映画で一番笑ったところだ。身長180cm以上あるユマ・サーマンとのでこぼこコンビが踊ったりキスしたりする場面も楽しい。

プロデューサーズ コレクターズ・エディション
プロデューサーズ コレクターズ・エディションメル・ブルックス ジョナサン・サンガー スーザン・ストローマン

おすすめ平均
starsヒロインの出番はお早めに
starsそんなにすばらしい、かどうかは、なんともいえません
starsさすが名作ミュージカル
starsすごい。ほんとに、・・・すごい。
starsエンドロールのお終いまで、笑いがぎっしり!

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リバティーン
モノクロームの映像の中でロチェスターが口上を述べる場面はすばらしい。低くささやくような官能的な声で挑発的な言葉を次々に繰り出して、観客に「私を好きになるな」と警告するジョニー・デップの眼は悲しげに見える。この警告は観客にとっては誘惑だ。

物語に関しては、伝記で取り上げられる有名なエピソードは一通り押さえてあるのだが、ドラマのダイジェストを見ているようで、もう少し絞り込んだ方がよかったのではないか。 

追放と呼び戻し、信頼と反発、チャールズ二世とロチェスターの関係はいつも揺れ動いていて興味深い。しかし、映画は追放から呼び戻されるところから始まるので、ジョン・マルコヴィッチが演じているにも関わらず、二人の関係は十分に描かれているとは言い難い。二人の愛憎関係が描かれていれば、ロチェスターが議会で演説する場面はもっと感動的になったと思う。

誘拐した女性を妻にするという話は彼の伝記の中でもかなり有名なエピソードだが、これは直接描かれているわけではない。ただ、冒頭の馬車の中で二人がこの出来事について会話する場面は彼の倒錯的なところをよく表していて、ロチェスターが死の床についている場面でも繰り返される。二人の関係も、バリーとの関係に劣らず劇的なものだ。サマンサ・モートンに注目が集まりがちだが、妻役のロザムンド・パイク、娼婦役のケリー・ライリーもロチェスターへの想いをうまく表現していてよかったと思う。

キャスティングから考えればエリザベス・バリーとの関係が中心になるんだろうと思っていたが、意外とリジーの出番が少ない。ロチェスターがリジーをトレーニングをする場面で、リジーが誇りの高さを感じさせるところはいい。ただ、ロチェスターの死後も活躍して大女優としての地位を確固たるものにし、独身女性でありながら経済的にも成功した彼女のスケールの大きさを感じさせるには描写が少ないように思う。実際の彼女は美人ではないが、激しい感情の起伏を表現する力強い声を持っており、特に悲劇ではその才能を遺憾なく発揮した女優だったようだ。

三つの関係それぞれが単独で映画化できるほど劇的なので、一本の映画にするのはかえって難しいのかもしれない。ロチェスターはそれほど波乱に満ちた刺激的な生涯を送った人なのだ。

伝記に関しては以下の英語サイトを参考にした。肖像画が見られる。
http://www.answers.com/topic/rochester-john-wilmot-2d-earl-of
http://www.answers.com/Elizabeth%20Barry


リバティーン
リバティーンスティーヴン・ジェフリーズ ローレンス・ダンモア ジョニー・デップ

おすすめ平均
starsジョニー、喜怒哀楽を演じる
stars僅かな光明こそが,彼の総て
stars映画館で2回観て
starsキレイ
stars映画を観たのです。

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ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!
大人になってから粘土を触る機会はないけれど、小さい頃こね回した粘土の手触りは覚えている。こね回して作った粘土の人形は角のない丸みを帯びた形になる。ウォレスとグルミットの人形たちは高度な技術によって作られているけれど、みんな丸みを帯びた形で、意図的にでこぼこや指紋の跡を残してあり、子供の頃の粘土の感触を思い出させてくれる。

ハンドメイドの感覚は物語の中にもある。ウォレスは奇妙な機械をたくさん発明しているが、どれもこれもスパナやドライバーで組み立てられるような手作りの機械であって、半導体などは出てきそうにない。家の中のいろんなものが自動化されているが、人間の手や指の形をしたものを先につけた棒がよく出てくる。ウォレスをサポートするグルミットは彼のために手料理を作り、空いた時間には編み物をしている。彼もまた器用にのこぎりやスパナを使って、捕まえたウサギ用の檻を作る。町の人たちは野菜一つ一つに愛情を持って手塩にかけて育てていて、大事に育てた野菜をマイベイビーと呼び、コンテストに出す日を楽しみに待っている。

おっとりとしたユーモアが作品全体に満ちていて、丸みを帯びた人形たちによく合っている。ウォレスの家ではものぐさな子供が面倒くさいと思う起床や着替えが機械で自動化されているが、便利なようでいつもどこか抜けている。そんなウォレスをサポートするグルミットは台詞が全くないのに、眼の表情だけで感情を表していて、やれやれといった顔をしながらも激しい感情を出すことはほとんどない。アメリカのアニメによく出てくる、機関銃のようにしゃべるキャラは出てこない。ピンチの時でさえ、クレイアニメーション独特の動きのせいか、みなどこかのんびりしているように見える。

ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! スペシャル・エディション
ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! スペシャル・エディションニック・パーク スティーヴ・ボックス ピーター・サリス

おすすめ平均
stars長編の魅力と短編の良さ
stars楽しいキャラクター もう少し楽しむために西洋的発想を
starsけなげで勇敢なグルミット!
stars待った甲斐あり。おなかいっぱい!
starsほしいキャラクターグッズがまたひとつ増えました

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ラストデイズ
森の中の鳥の声や風で葉がすれる音、水音やたき火の音に、ブレイク(マイケル・ピット)は耳を傾けている。繊細に録音されたこれらの音に、僕たちもまたブレイクと同じ様に耳を澄ませる。そして彼は何かをつぶやきながら歩き回り、詩を書き留め、楽器をかき鳴らし、孤独と死について歌う。

この穏やかで美しい閉域に、外から雑音が入り込む。何度も鳴る電話は、ツアーに来いというビジネスの電話だ。巨額の富を生むロックスターになった彼を、周りは放っておいてくれない。しかしもう彼は電話の声に答えようとはしない。この映画にファンが期待するヒット曲もライブ場面もないのは当然のことだ、なぜならこれはスターであれ、という要求に背を向けた男の物語だから。他にも、セールスマン、宗教の勧誘など、社会の側は彼に様々な要求をしてくる。

彼の周りにいる連中も、彼に求めるばかりで彼の声をゆっくり聞こうという人間は一人もいない。世界中に多くのファンがいるのに、彼のつぶやきは誰の耳にも届かない。彼の内側でたまったつぶやきが、演奏するとき、エッジの効いた音と叫びになって、炸裂する。

上の方から美しい鐘のようなの音がかすかに聞こえる。その音に誘われるように、彼は社会性という名の服を脱ぎ捨て、雑音だらけの地上に別れを告げ、天のはしごを登っていく。そこに悲劇性は全くない。ニュースでは批評家が無駄な饒舌を垂れ流しているが、そんなものは彼の生と死には全く関係がない。 彼は最後まであまりにも純粋な音楽家だったのだ。

ラストデイズ
ラストデイズガス・ヴァン・サント マイケル・ピット ルーカス・ハース

おすすめ平均
stars「エレファント」以上
stars鬱鬱鬱…
stars映像詩。
stars眠かったです・・。
starsカートでなく…ブレイクのはずだった…

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